4月26日

映画の感想。





















やがて海へと届く観ました。
見終わった後、寂しさと空虚さと、でもどこかで安心したり、色んな感情が追いつかなくて疲れた。今でもごちゃごちゃしてる。

人間って絶対に他人の事を分かり得ないし、分かったと思うならそれって妄想なんだと思う。作中に勝手に解釈する事は傲慢だって台詞が出てくるけど本当にその通りで。自分の中では分かったけど、それは相手を分かった事ではない。それはいる人でもいない人でも同じ。だからいなくなった人の事をどれだけ考えてどれだけ心を痛めて苦しんだとしても、それって相手には何も関係なくて、全部自分のためなんだって思って、空虚さと同時に安心した。他人の事で頭を悩ませても、それは永遠に分かる事はなく、それは誰のせいでもなく、同じ様に自分の事も一生他の人には分かり得ない。そういうものだからそれでいい。そう思うしかない。

すみれちゃんは掴みづらくてミステリアスという設定だけど、すみれちゃん視点を見ると全くそんな事はなくて、色んな所に出てるんだよね。それを遠野くんは少し分かっていた。けど真奈ちゃんは分からなかった。こうだからその人が分かるとか、分かったけどうまく付き合えるとかそういう事もなくて、そういうものなんだって思える。
ポスターにもなっているシーン、二人の表情がよかったな。すみれちゃんが笑うでも泣くでもなく、無表情な所が逆に切なくて。
私が大好きな漫画、潔く柔くにも同じ様なシーンがあって微かにダブった。すみれちゃんはもういないんだから、もちろん現実ではないんだけど、現実ではないのに何かが伝わる所が、現実では分かり合えないのに人間って何なんだろうって思う。結局は人間の妄想な訳だから、なんてポジティブなんだろうとも思うし、だけど希望を自分で生み出せるのは凄いなとも思う。

私はこの作品が震災に深く関わってると知らずに見に行ったので、水に飲み込まれていく表現の部分は本当に怖かった。アニメーションでだいぶぼやかされているのに、マジで怖くて夢に出てきそうって思った。だから、この表現はアニメーションで表現するのが一番良かったなって個人的に思う。すみれちゃん視点を描く時に、最後の表現を入れない事はできないし。あと、津波に飲み込まれた後の事はあくまで想像だから、アニメーションの方が表現として合ってるのかなと思って。現実と空想の間だから。

居心地の良い空間を作りたいって言っていた真奈ちゃんが、楢原さんとどこか心通わせる所とか、すみれちゃんが最後真奈ちゃんのベランダに帰ってくる所とか、そういう所もよかったなあ。あと結局一番涙腺にきたのは童歌でした。
やがて海へと届くっていう表題の意味も最後に繋がって、とても良かった…全体的にとても好きだった。